第71章 死ぬか、生きるか

杉浦杏奈がエレベーターを出ると、真っ先に永井遥香の姿が目に入った。

彼女は1階ロビーのラウンジに座り、脇にはすっかり冷めたコーヒー。ノートPCに何かを打ち込んでいて、指先が目にも留まらぬ速さで動いている。

杏奈の姿を認めると、遥香はぱたりとPCを閉じて立ち上がった。

「杉浦さん」

「彼から連絡が来たの?」杏奈は歩み寄る。

遥香は頷いた。

「灰原社長から、午前4時にメッセージです。ここで待つように、と」

「午前4時?」杏奈は眉を上げる。「ほんと、人使い荒いわね」

「ええ」遥香は表情ひとつ変えない。「ですので杉浦さん、灰原社長に残業代の申請をお忘れなく。私の給料、支払っているのは...

ログインして続きを読む